Q&A

レザータウン草加プロジェクト プロジェクトメンバーのみなさま

彩鞄

挑戦するエコレザーブランド『彩鞄』

草加と言えば草加せんべいを思い出す人が多いだろう。煎餅作りが盛んになったのは、草加という地域が、利根川と江戸川に挟まれた穀倉地帯にあり、流域での醤油産業も盛んなことから、煎餅の基本である米、水、醤油という環境に恵まれていたためだ。
レザータウン草加プロジェクトのみなさま
レザータウン草加プロジェクト
プロジェクトメンバーのみなさま
今でも、天然地下水を利用して煎餅作りをしている老舗もあるという。その草加で注目を集めている職人集団がある。「レザータウン草加プロジェクト」を推進する革のプロ集団だ。ストーリー性を持たせたエコレザー商品開発に取り組む関係者に聞いた。
皮革の製造工程は大量の水を必要とする。草加せんべいを生み出した豊富な水源は、皮革産業にとっても「命の水」であった。草加の皮革産業は、1935年の皮革工場進出をきっかけに、東京から皮革企業が続々と移転・進出したことに始まる。

写真
日東皮革株式会社
代表取締役 宮本宗武氏
「1960年頃には、タンナー関連業者が60社ほどいました。しかしご多分に漏れず、皮革業界でも新興国の追い上げやら、工場の環境問題の規制が厳しくなり、卓越した鞣し(なめし)技術を持っている企業を除いて、次第に減少してきました。反対に、川一本渡れば東京という利便性から、皮革の加工業者が集まってきました。靴、バッグ、鞄、小物、衣料と皮革製品全般がこの地域でつくられています」(原皮及び太鼓の革を扱う、日東皮革株式会社 代表取締役 宮本宗武氏)

その後草加は、原皮調達から製品化までの工程を同地域での生産可能な全国的にもまれな場所として発展し、皮革関連事業の集積地となった。

「レザータウン草加プロジェクト」発足

埼玉には「埼玉皮革関連事業協同組合」「埼玉レザー事業協同組合」「埼玉県皮革産業協議会」という3つの組合があり、18年位前から互いに協力し合って新しい事業を起こすようになった。そうした中から、草加の皮革ブランドとして「ASOKA」「asobe」が誕生した。そして12年前に3団体が中心となって、新しい皮革の任意団体「そうか革職人会」を立ち上げた。

当初は、草加地域で皮革に携わる人が市民の方々に知ってもらう目的で、共通の皮革看板を会社の入り口や玄関に立てた(現在約80本)。また「草加皮革大賞コンテスト」を5年ほど開催し、次第に皮革の産地の認知度も上がった。そうか革職人会の事業は、皮革の普及、イベント、そして物販と拡がっていった。

しかし活動範囲が次第に限られてしまい、事業に参加できない人たちも出てきた。そこで草加の特長を最大限に生かし、皮革産地「草加」の将来を考えるため、、今までの3団体のメンバーが中心になって「レザータウン 草加プロジェクト」チームが生まれた。

写真 レザータウン草加プロジェクト代表
有限会社 鈴仙 鈴木 功氏

 「自分たちで作った物を、自分たちの手で売っていく、イタリアの皮革の町フィレンツェにはその土壌があります。『目指せ、アジアのフィレンツェへ』を合い言葉にしながら、熱い思いを持ったメンバーが、次の若い人たちへ、日本の皮革産地『草加』」を引き継いでいってもらえたらと思います」
(レザータウン草加プロジェクトの代表 有限会社 鈴仙の鈴木 功氏)

草加発 エコレザー「彩鞄」

こうした取り組みの中から、草加発信のエコレザーが歩き出した。ただ単に、エコレザーだけでは商品にストーリー性を持たせられない。そこで思いついたのが、「農商工連携」だった。調べてみると、埼玉地域には畜産業者が少なくない。そんな時、埼玉県の畜産業者に出会った。そして2011年、ついに、優しい革=エコレザーブランド「彩鞄」が立ち上がる。

写真 大東ロマン株式会社
代表取締役 祝原 博氏
「これからの時代、業界として取り組んでいるエコレザー革を外して革を作る事は、時代に逆行することになると考えました。『エコレザーなら原皮も国産皮に』とこだわり、埼玉県内の本庄児玉の畜産組合 武州和牛組合と調整して了解を取りました。畜産業者の方々も、A5ランクのステーキ肉の販売であって、外側の皮の販売までは考えたことも無く、みなさんにとっても楽しみな取り組みとして、期待されているようです」(エコレザー鞣し、染色の大東ロマン株式会社 代表取締役 祝原 博氏)
写真 埼玉武州和牛 尾熊牧場
代表 尾熊 将雄氏


「武州和牛の皮を使ってもらって、ありがたい限りです。なんといっても今までなかった取り組みになりました。私たちは、市場で皮を販売しますが、今までは、私たちの牛の副産物の皮がどこへ売られているか、知る由もなく気にもしていませんでした。このようにして、同じ埼玉地域で他の業種の方々と力を合わせて新しいものを作り出す機会があるとは思ってもいませんでした。本当にありがたくてうれしく思います」(埼玉武州和牛 尾熊牧場 代表 尾熊 将雄氏)

「彩鞄」の先に見えるエコレザーの可能性

細部にまでエコにこだわっているのが「彩鞄」だ。金具をできるだけ少なく、裏地やファスナーもエコ仕様にするなど、徹底したものづくりを追求している。それが実現できたのは、原料の手配から、染色、なめし、縫製、製品づくり、最終製品までを、草加市内...埼玉県内でできたからにほかならない。

「SAITAMA Smile Women フェスタ」(2013年9月14日、15日、さいたまスーパーアリーナ)への出店も果たした。「Leather Town SOKA」のブースでは、「彩鞄」の商品を紹介するエリアと、武州和牛販売のエリアを作り、武州和牛の肉を試食用に焼いて来場者に振る舞った。「牛肉と革製品をひとつに置くことはタブーとされてきましたが、今回の試みによってトレーサビリティもわかり、地産地消のコンセプトを伝えることができました」。


『SAITAMA Smile Women フェスタ』の様子

今足りないのは、デザイン。そこでデザイナーを広く一般から募集して、一緒に商品を開発する試みを始めている。「組合ではずっと『人とモノと環境の共生』をテーマにしてきました。今回のブランドも、一貫性を持たせるという意味で『やさしさを感じるものづくり』というキャッチコピーを作り、未来に残せるようなものをデザイナーさんと共作していこうと思います」と鈴木氏は「彩鞄」の先に見えるエコレザーの可能性に期待を寄せた。
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