エコレザー事例

株式会社けいしん平野屋代表取締役社長 平野公士様 インタビュー

日本エコレザー基準認定は製造地証明

株式会社けいしん平野屋
代表取締役社長 平野公士様
商品化までには様々な問題点があったエコレザーだが、タンナーを始めとする関係者の不断の取り組みで、ついに厳しい選択眼を持つ消費者を動かしつつある。今や、総合スーパー(GMS)業界や通販業界の最大手が関心を寄せる日本エコレザー基準認定は製造地証明でもある。


弊社のお取引先は、総合スーパー(GMS)が主となります。総合スーパーは、セルフサービスによる販売のため、お客様自身が商品を見て、触れて、購入される、という特徴があります。販売員がほとんどいないため、なにか目を引くポイントが必要となります。エコレザーを使用した商品は、エコレザーラベルやポップなどの販促物を活用することにより、「エコレザーってなんだろう」と、お客様が興味を持ち手にとって頂けるようです。

今年、母の日のギフト商品として、ある総合スーパーでエコレザーを使用したバッグを販売しました。通常の販売方法とは異なりますが、思いもよらない大反響を得ることができました。

残念なことに総合スーパーでは、1万円台のレザーバッグはなかなか売れ筋になりません。しかし、「エコレザーという付加価値のある商品であれば...」と、他社のバイヤーからも興味を持って頂いています。また、大手通販会社からもお声掛けを頂きました。具体的な取り組みはこれからですが、エコレザーに大変興味を持たれているようです。

高付加価値素材への期待

日本エコレザー基準認定は、皮革素材の認定制度です。皮革製品の場合は、認定を受けたエコレザーを使用して、かつ表面積の60%以上を使用している製品であれば、エコレザーラベルを使用することができます。日本エコレザー基準認定番号の使用承諾書、使用部分の明示、表面積の60%以上を使用している条件が整えば、所定の書類を(社)日本皮革産業連合会へ提出します。認定後、製品表示許可番号が発行されます。

以前から環境を配慮して作られたヌメ革などは、バッグの素材として広く使用されてきました。さらに、この日本エコレザー基準認定制度ができた事により、従来使用していたヌメ革も高付加価値素材として、消費者へPRすることができます。また、新しく開発されたエコレザーがあれば、ますます商品開発の幅が広がり、消費者へ付加価値のある商品を提供することができます。皮革業界を活性化する良い機会となりますね。

弊社では2年程前、日本エコレザー基準認定制度の話を伺う機会があり、非常に興味を持ちました。実際に素材を手にした時、「そうだ、エコレザーでバッグを作ってみよう」と、考えました。いろいろ試行錯誤はありましたが、今では皆様からの評価を得て、積極的に商品開発に取り組んでいます。これからもエコレザーには、ますます期待をしていきたいと考えています。

エコレザーは純正の履歴書

革を製造する過程において、様々な製法に適した薬品を使用すると思います。より良い革を製造する上で欠かせない製法や薬品は、革製造業者の皆さんにとって重要な企業秘密だと思います。

日本エコレザー基準認定制度では、基準値はもちろん、製造会社、製造国、革の種類、製法などの情報をホームページで見る事ができます。皮革製品製造業者から消費者までが同じ情報を持てることは、大変画期的なことだと思います。店舗数の多い総合スーパーは、多くの消費者と接している流通業態のため、消費者が安心して購入できる情報を提示する事は、これも高付加価値の一つですね。エコレザー以外の皮革製品にもこのような試みが広がる事を期待しています。

拡がりを見せる日本エコレザーの用途

日本エコレザーラベルを一点一点取るとなると大変です。異素材とのコラボレートしても、日本エコレザーを60%使っていればエコレザーラベルをつけることが出来て、「エコ」としての商品が出せるようになっています。

そういったこともありますので、今、マテリアルプロジェクトに参加し、他の素材ともコラボレーションしようと考えています。 例えば、柔道着の生地でバッグを作っていることで注目を集めている会社がありまして、「時代の風」を感じられるような製品にパワーアップして、拡販を考えていらっしゃったらしいのです。そこで、革を融合させてみようとネットで検索したときに弊社がヒットしたらしく、実際に見に来ていただき、コラボしたいという流れになりました。エコレザーとあわせてならエコで通るかも、ということでやったのですが上手くいきましたよという連絡をいただきました。今度、サライという雑誌に載るらしいです。エコレザーを使うことにはそういうメリットがあると、改めて思いました。

あとはエコレザーの使用率が60%であればいいわけですから、3年計画ぐらいかけて、その土地土地の素材とのコラボレーション製品を開発したいと思っています。「あそこにいけばこういうものが買える」というようなエコレザーポータルサイトを作って、インターネットでショッピングしてもらうというのも面白いかなと考えていたりします。